研究課題/領域番号 |
16390183
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40295811)
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研究分担者 |
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40168018)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
後和 美朝 大阪国際大学, 人間科学学部, 教授 (40248050)
冨田 耕太郎 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (50197935)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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キーワード | 思春期 / 性発達 / インスリン抵抗性 / 肥満 / アディボサイトカイン / メタボリックシンドローム / 血圧 / 脈波伝播速度 / 動脈硬化性疾患危険因子 / アディポサイトカイン / 代謝性疾患危険因子 |
研究概要 |
若年者では、思春期の第2次性徴の発現に関わる内分泌環境の変化や、脂肪組織または除脂肪組織などの身体組成の変化がインスリン抵抗性に関与し、身長の最大発育年齢を迎えた年から1年後までの時期にインスリンが一過性に上昇する変化が見られることが明らかになった。また、このような思春期に特異的な生理的変動を考慮しても、肥満者では非肥満者に比べてインスリン抵抗性が亢進しており、各種の肥満判定指標のなかでも超音波法による腹膜前脂肪厚との関連がより強かったことから、肥満の状態、特に腹腔内臓脂肪の蓄積がインスリン抵抗性を強く修飾し、高インスリン血症を招くことが示された。さらに、肥満遺伝子より産生されるサイトカインであるレプチンが思春期の性発達や肥満によるインスリン抵抗性の元進に関与することが示唆された。インスリンが思春期の生理的変動の範囲を超えて高値を示す者では、血圧、中性脂肪、動脈硬化指数が高く、HDLコレステロールが低いことが示されるとともに、数年後の青年期にかけての血圧の上昇が大きいことが明らかにされ、思春期における肥満とそれに伴う高インスリン血症は、将来のMetSを構成する危険因子の発現や進展に寄与する可能性が示された。MetSにおける内臓肥満、血圧高値、高血糖、リポ蛋白異常の指標としてウエスト/身長比、平均血圧、TC/HDL比、HOMA指数を用い、そのうえで、性別、年齢別の75パーセンタイル値以上である場合をリスク有りとして個人内でのリスクの集積数と脈波伝播速度(baPWV)との関係をみると、リスクの集積数の増加に比例してbaPWVが高値を示すとともに、MetS群と非MetS群で比較するとその差がより顕著であった。さらに、数年間の観察期間中にMetSを新規に発症した者やMetSの状態が持続した者では、MetSが改善した者やMetSがなかった者に比べ、有意に高いbaPWVの上昇が認められたことから、若年者においてもMetSの病態が血管壁の性状の変化に影響を及ぼすことが示された。 以上のことから、肥満に起因する健康障害を減少させることは勿論であるが、将来の高血圧、糖尿病、脂質代謝異常などの代謝性疾患の予防という視点からも早期からの肥満指導が重要であり、その指導において、耐糖能異常やインスリン抵抗性は最も留意すべき点であると考えられる。
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