研究課題/領域番号 |
16390190
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | (財)放射線影響研究所 |
研究代表者 |
楠 洋一郎 (財)放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 副部長 (60333548)
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研究分担者 |
林 奉権 (財)放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 免疫学研究室長 (70333549)
京泉 誠之 安田女子大学, 家政学部, 教授 (50333547)
箱田 雅之 安田女子大学, 家政学部, 教授 (70208429)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 14,300千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2004年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | コーホート研究 / 細胞性免疫 / 分子疫学 / 放射線 / サイトカイン / ウイルス肝炎 / Th1 / Th2 / 遺伝子多型 / 炎症 / CD4 |
研究概要 |
本研究は、様々な疾患に対する個人のリスクと関係する可能性のある免疫学的指標と遺伝子多型を同定する目的で、放射線影響研究所の約3,500名の原爆被爆者コーホートにおける免疫関連遺伝子の多型を解析し、末梢血中のT細胞サブセットの割合やサイトカインレベルを中心とした細胞性免疫指標ならびに炎症性疾患との関連性を明らかにする。本研究期間に以下の成果が得られた。 1.広島および長崎の被爆者いずれにおいても、末梢血CD4 T細胞、とくにナイーブCD4T細胞の割合が被ばく放射線量に依存して有意に低下していた。また、TREC数の測定結果により、このナイーブCD4T細胞に対する影響は原爆放射線被ばくによる胸腺でのCD4T細胞産生の長期低下によるものである可能性が示唆された。 2.CD43の発現レベルで識別可能な3つの機能的に異なるメモリーCD4T細胞サブセットの測定により、機能的に劣弱および不応答なサブセットの割合に被ばく線量依存性の増加が示唆された。 3.炎症性サイトカインTNF-α、IFN-γ、IL-6の生体内産生亢進を示す有意な放射線影響が見られた。 4.HCV感染者は非感染者に比して、Th1/Th2バランスはTh1優位になっており、血小板数低下などの肝病態の進展とともにTh1優位の免疫応答がさらに増強していた。また、それに伴い炎症性サイトカインの産生が亢進され、肝機能障害を誘導していることが示唆された。 5.炎症性サイトカインTNF-α、IFN-γ、IL-6の血漿中レベルとこれらの当該遺伝子多型との関連分析を行った結果、これらの表現型の被ばく線量依存性変化に多型との相互作用は認められなかった。 6.CD45エクソン6 SNP(A138G)はCD4T細胞のCD45アイソタイプ発現に有意な影響をおよぼさなかったが、Th1/Th2の割合との関連が示唆された。 本研究の対象者は疾患発症の追跡調査が将来も継続される。本研究により、放射線被ばくが免疫学的加齢を促進したという仮説を支持するいくつかの証拠が得られたのみならず、放射線被ばく、細胞性免疫指標、遺伝子多型、疾患リスクの関係についてのコーホート研究をさらに進めて行くための基盤が確立された。
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