配分額 *注記 |
9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
2006年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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研究概要 |
癌細胞特異的に増殖し,癌を融解するE1変異アデノウイルスは,欧米の臨床治験での画期的有効性が注目されている。最近,我々はE1変異ウイルスの胆道癌に対する実験的有効性を明らかにしたが,同時に,約半数の胆道癌細胞ではその治療効果が乏しいことも見出した。アデノウイルスは,細胞表面の受容体CARを介して感染するが,最近,ファイバーの改変(RGDモチーフ導入)によりintegrinを介した感染により癌細胞への感染効率が改善することが報告されたが,胆道癌では検討されていない。本研究では,胆道癌に対するE1変異ウイルスの治療効果と細胞表面受容体(CAR, integrin)の関係を明らかにし,ファイバーをRGD改変したE1変異ウイルスの有効性を実験的に解析することを目的とした。初めに,胆道癌細胞における細胞表面受容体の発現とアデノウイルスの感染効率の関係を検討した。その結果,胆道癌細胞でのCAR発現とウイルスの感染効率は有意に相関すること,大部分の胆道癌細胞ではintegrinが強発現していること,E1変異ウイルスの治療効果の乏しい癌細胞ではCAR発現が乏しくウイルスの感染効率が低いことが判明した。次いで,ファイバー改変(RGDモチーフの導入)型E1変異アデノウイルスの胆道癌細胞に対する感染効率と抗腫瘍効果および正常細胞に対する安全性を検討した。その結果,ファイバー改変型E1変異アデノウイルスがCAR低発現胆道癌細胞における感染効率を著明に改善し,in vitroおよびin vivoでの抗腫瘍効果を著明に改善すること,一方,正常細胞には細胞障害性を発揮しないこと,を明らかにした。以上,本ウイルスの前臨床レベルでの胆道癌に対する有効性と安全性が判明した。
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