研究概要 |
CLC-Kクロライドチャ:ネルはその細胞内での細胞膜へのソーティングをそのベータサブユニットであるバーチンに依存している。よって、CLC-Kクロライドチャネルの細胞内ソーティング機構は、バーチン自身のソーティング機構を研究する事が大切となる。また、バーチンとCLC-Kクロライドチャネルがどのようにして結合しているのか、という点も、CLC-Kクロライドチャネル以外のCLCクロライドチャネルでベータサブユニットを探索する際の、有用な情報となり得る。 本研究では、上記の点について研究を行い、以下の知見を得た。 1)バーチンとCLC-Kクロライドチャネル結合に必要な部位を、種々の欠失変異体を作成し、それらの免疫沈降実験で検討した。その結果、CLC-KクロライドチャネルのドメインB, Cが一つの結合部位を、J, Kがもう一つの結合部位となっていた。また、バーチン自体も2膜ある細胞膜貫通部位が必須であることが判明した。この情報により、他のCLCクロライドチャネルについてのベータサブユニット探索に今後有用な情報を提供出来ると思われる。 2)バーター症候群を引きおこすバーチン変異体R8Lについて、以前その分子メカニズムについては報告していたが、今回この研究を発展させ、細胞内小胞体(ER)にとどまるR8Lを細胞膜に引き出す方策について検討した。ケミカルシャペロンやクルクミンといった薬剤にその作用があるかを、R8L安定発現MDCK細胞にて検討し、クルクミンやDMSO,グリセロールに一定の作用を見た。今後、生体内でこの方策が可能であるかを検討するため、R8Lノックインマウスの作成に着手し、ターゲッティングベクターの作成を終了し、ES細胞を単離した。 3)バーチン自体の細胞基底側へのソーティングシグナルを解明するため、いくつかの変異体を作成しMDCK細胞で検討した。その結果、C末細胞内の約20程度のアミノ酸からなる部分が、ソーティングに必須である事が判明した。これは、今まで報告されている基底側ソーティングシグナルとは異なっており、新しいソーティングシグナルの可能性がある。
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