研究課題
基盤研究(B)
成人発症の運動ニューロン疾患について、神経細胞変性の病態を解明し、それに基づく治療法開発を行った。球脊髄性筋萎縮症(SBMA)患者の剖検組織に対して抗ポリグルタミン抗体(1C2)を用いた詳細な免疫組織化学的検索を行ったところ、本症の原因タンパクである変異アンドロゲン受容体(AR)は主として核内にびまん性に分布し、従来病理学的特徴とされてきた核内封入体よりもはるかに高頻度かつ広範囲に観察された。脊髄運動ニューロンの変異ARの核内びまん性集積はAR遺伝子のCAGリピート数と相関しており、変異タンパクの核内びまん性集積が病態形成に重要な役割を果たしていると考えられた。剖検陰嚢皮膚の1C2免疫染色では陰嚢表皮細胞への変異AR蓄積と程度と脊髄前角細胞における蓄積の程度は相関する傾向が認められた。また、生検陰嚢皮膚における変異AR蓄積の程度は運動機能スケール(Noriis score)と相関し、AR遺伝子のCAGリピート数とも相関が示された。また、すでにSBMAのマウスモデルにおいてLHRHアナログの治療効果が示されていることに基づき、我々は50名のSBMA患者に対するLHRHアナログのプラセボ対照比較試験を実施した。その結果、LHRHアナログ投与により陰嚢皮膚における変異AR蛋白質の核内集積が有意に抑制され、血清CKも有意に減少、嚥下機能の改善がみられた。筋萎縮性側索硬化症については、病態関連分子であるDorfinの結合蛋白質としてVCP/p97を同定し、DorfinのE3活性制御にVCP/p97が重要であることを明らかにした。レーザーマイクロダイセクションとcDNAマイクロアレイを用いた患者脊髄運動ニューロンの遺伝子発現解析では、病態の早期から細胞骨格、軸索輸送や転写に関与する分子および細胞表面抗原や受容体の発現低下が見られた。一方、細胞死に関する分子の遺伝子については多くが発現亢進していた。
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