研究課題/領域番号 |
16390254
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
結城 伸泰 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (60285913)
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研究分担者 |
増田 道明 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80199702)
小島 直也 東海大学, 工学部, 助教授 (30183338)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2005年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2004年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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キーワード | ギラン・バレー症候群 / Campylobacter jejuni / リポオリゴ糖 / 分子相同性 / 遺伝子多型 / ガングリオシド |
研究概要 |
カンピロバクター腸炎患者の3千人に一人がギラン・バレー症候群(GBS)を続発するが、GBS発症の規定因子は不明である。さらにフィッシャー症候群(FS)に代表されるように、GBSの臨床像は多彩であるが、臨床像の規定因子は明らかにされていない。カンピロバクター腸炎後GBSの発症機序として、菌体リポオリゴ糖(LOS)上のガングリオシド様構造によって、患者血中に抗ガングリオシド抗体が誘導され、GBS発症に至ると想定されている。これをヒントに、菌LOS合成関連遺伝子の構成パターンや遺伝子多型がGBS・FSの発症および臨床像を規定しているか検討を行った。 LOS合成関連遺伝子座は、GBS患者由来株(138株)の68%がクラスAであり、腸炎株(103株中17%)と比べ高頻度であった(P<0.001)。クラスA株は、GMIとGD1aエピトープの両者を有していることが多く、このような傾向は他のクラスの菌株ではみられなかった。クラスAとBの遺伝子座に共通して存在するシアル酸転移酵素遺伝子cst-IIの多型分析を行った結果、cst-II(Asn51)株はGQ1b様LOSを、cst-II(Thr51)株はGM1やGD1a様LOSを高頻度に発現していた。Asn51株が分離された症例では抗GQ1b抗体の、Thr51株の症例ではGM1やGD1aに対する抗体の陽性率が高かった。さらに、Asn51株は、眼筋麻痺などの脳神経麻痺や運動失調と密接に関連している一方、Thr51株が分離されたほぼ全症例で四肢麻痺をきたしていた。GBS分離株の多くはThr51型であったのに対し、FS株の多くはAsn51型であった。 クラスAとBの遺伝子座には、ガングリオシド様LOS合成に必要な糖転移酵素遺伝子がすべて含まれており、GBS・FS発症の強力な危険因子であることが示された。クラスA遺伝子座とcst-II(Thr51)型とは密接に関連しており、GM1/GD1a様LOSの合成が促進される結果、患者血中に抗GM1/GD1a抗体を誘導し、GBS発症のリスクを高めると考えられる。一方、クラスAかBかに関わらず、Asn51株はGQ1b様LOSを発現する結果、患者血中に抗GQ1b抗体を誘導し、FSを発症すると想定される。
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