研究課題
基盤研究(B)
我々はVPS13A遺伝子改変ChAcモデルマウスの作成に成功した。ChAcモデルマウスはストレイン129系とC57Bl/6系の雑種で作成したが、ヒト疾患における病理と一致した線条体を中心とした神経変性と有棘赤血球症を発症した。しかし、変性の程度や運動や行動の評価および神経化学的分析結果は個体差が大きく、環境因の差の少なさから背景遺伝子の差による影響がこのような結果をまねいたと考えた。これらの事実は、ChAcの発症に対して影響を与えるmodifier遺伝子(群)の存在を推測させた。続いて、背景遺伝子を揃えるべく、DBA/2J、BALB/cbyJ、C57BL/6Jの三種のストレインに戻し交配を行い、N11世代以降をもって実験に供したところ、DBA/2JにおいてVPS13A欠失型のホモ接合体では生直後からの発育は正常なものの生後三ヶ月を過ぎた頃から体重の増加が悪くなった。ヘテロ接合体では、野生型とホモ接合体のちょうど中間を示し、遺伝子の量的効果がみられた。すなわち、VPS13A遺伝子の欠失はDBA/2Jストレインの背景遺伝子を持った場合、成育における体重の増加傾向に対して優性遺伝形式の効果をみせた。C57BL/6Jストレインでは上記のような変化は全くみられず、BALB/cbyJではホモ接合体でのみ生後半年を過ぎた頃から体重の増加が悪くなった。BALB/cbyJでのVPS13A遺伝子の欠失の効果は、一見劣性遺伝形式のように考えられた。これらの結果は、VPS13A遺伝子の欠失がC57BL/6Jではみられない効果を優性もしくは劣性の効果いずれにしてもDBA/2JあるいはBALB/cbyJを背景遺伝子として持つ場合に体重減少が引き起こされた。このような事実は、ChAcの発症に対して強力な影響を与えるmodifying遺伝子(群)の存在を示唆する。すなわち、有棘赤血球舞踏病の原因を考える場合、VPS13A遺伝子の障害を考えるとともに他のmodifying遺伝子(群)の影響も大きいと考えられた。また、これらの結果とは別個に、DBA/2J、BALB/cbyJ、c57BL/6Jの三種のストレインともVPS13A欠失型のホモ接合体の雄性マウスでは生殖能力がなかったが、雌性マウスでは生殖能力が普通に存在していた。
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