研究課題/領域番号 |
16390338
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
手島 昭樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40136049)
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研究分担者 |
松浦 成昭 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70190402)
大野 ゆう子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60183026)
東山 繁樹 愛媛大学, 医学部, 教授 (60202272)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
11,800千円 (直接経費: 11,800千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2005年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2004年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | X線 / 炭素イオン線 / DNAチップ / 遺伝子 / RT-PCR / 照射野辺縁 / 転移能 / 腫瘍血流遮断薬 / 重粒子線 / 細胞生存率 / 増殖能 / 浸潤能 / 血管新生能 |
研究概要 |
照射野辺縁細胞照射モデルでの癌細胞の動態解析により、X線では照射野辺縁部に亜致死線量が照射された際に癌の転移能が亢進し、亜致死線量を繰り返し照射したモデルでは放射線耐性が生じて転移を制御できないことも示唆された。一方、炭素イオン線照射は細胞機能の抑制が可能で、照射野辺縁部での浸潤・転移抑制効果が大きかった。 cDNA microarrayによる遺伝子発現の網羅的解析により、放射線照射によって浸潤・転移関連遺伝子(ANLN)および血管新生関連遺伝子(CTGF、NRP1)の発現が変化していた。細胞機能の検討から、転移・血管新生能の抑制効果は炭素イオン線の方が高かった。in vivoでの転移能の検討より、X線では亜致死線量照射で肺転移を亢進していたが、炭素イオン線では線量依存的に抑制されていた。転移能を亢進させるMMP-2活性と遊走・浸潤能が、炭素イオン線照射により抑制され、in vitroの結果と一致した。これらの機能を抑制するように作用する遺伝子の制御が、炭素イオン線の方で強い事がメカニズムとして示唆された。世界で初めての観察であり、今後はタンパクレベルの解析へと進める。 腫瘍血流遮断作用を持つ薬剤TZT-1027をX線照射後に添加し、転移能を評価した。接着能に対する相乗効果はなかった。遊走能はTZT-1027の添加で抑制され、X線とTZT-1027の併用により転移能の抑制が示された。 現在、放射線治療の臨床では腫瘍の体内移動や周辺の微小浸潤を考慮した上で照射野辺縁が設定される。照射野辺縁やIMRT等の高精度放射線治療時に出現する周辺低線量域について、上記の生物学的所見に着目した研究はなく、新たな展開が期待される。臨床に近似させた条件での照射野設定時の周辺安全域に関する生物学的指標の提供は独自であり、今後臨床的意義を出してゆく予定である。
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