研究課題
基盤研究(B)
がんの抗がん剤に対する耐性獲得の研究が種々の領域で行われている。がん細胞内への薬剤の取り込み抑制、薬剤排泄や代謝亢進等が報告されている。分子標的治療薬イマチニブは再発進行消化管間質腫瘍(GIST)に対し劇的な臨床効果を示し、延命効果も得られたが、長期使用に伴い耐性GISTが出現、問題となっている。我々はイマチニブの標的分子KITとPDGFR□を中心に、薬剤抵抗性のメカニズムを解析した。現在まで、42例のイマチニブ耐性(一次耐性5例、二次耐性37例)GISTの治療を行い、内耐性病変から組織の得られた25人(48病変)に関し、(1).耐性GISTの臨床像、(2).手術±RFA治療の臨床治療効果と安全性、(3).腫瘍組織でのKIT、PDGFR□タンパク質の発現状態とKIT、PDGFR□タンパク質下流のキナーゼの活性化、(4).KIT、PDGFR□遺伝子の遺伝子変異の有無を検索した。(1).耐性診断は主にCTで行われ、画像所見としては、1.Enlargement(15例)、2.a nodule in amass(10例)、3.new lesion(3例)認めた。一部の症例では1〜3の所見を別々の部位で複数認めた。部分耐性に対する外科切除は術後イマチニブ治療を行い約6月のPFSを認めたが、全身性耐性に対しては外科治療効果を認めなかった。特に、耐性病変数が1〜2個の完全切除例に対しては10月以上のPFSの延長を認めた。(2).組織学的にイマチニブ効果病変は硝子化変性を示し、耐性GISTは全例投与前と同様にHE染色でspindleないしepithelioidの腫瘍細胞を認め、免疫組織染色でKITタンパク質の強発現を確認した。また、KIT下流キナーゼ系(AKT系,MAPK系)の活性化も認めた。(3).20例に初発時認められたKIT遺伝子変異に加え、KIT遺伝子の同じアリル上で、キナーゼ領域(Ex13に11例、Ex14に1例、Ex17に10例、Ex16+17に1例)に耐性型のsecondary missense mutationを認めた。5例で複数の二次遺伝子異常を認め、多クローン性の耐性病変を認めた。残り5例では一次遺伝子異常のみであった。(4).イマチニブ耐性GISTに対しスニチニブの臨床試験を行い6症例でその効果と遺伝子異常を検索した。Ex17に二次遺伝子変異を認めた3症例にはスニチニブの治療効果を認めず、1症例には二次遺伝子変異無く、Ex13二次遺伝子変異1症例はスニチニブの血中濃度が上昇せず、治療効果を認めなかった。Ex13に二次遺伝子異常を認めた1症例に対して臨床治療効果を認めた。本症例に対しても、スニチニブ使用に伴いスニチニブ耐性病変が出現、遺伝子解析では3次遺伝子変異を同じKITアリル上のEx17に認めた。以上より、標的治療薬イマチニブ、スニチニブに対する効果は標的遺伝子変異と関連し、その耐性の機序として標的分子の獲得性遺伝子変化が重要である事が示唆された。
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