研究課題/領域番号 |
16390391
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田中 啓之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (70197466)
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研究分担者 |
鈴木 淳一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (90313858)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
2005年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 静脈グラフト / 高コレステロール / ウサギ / 高コレステロール血症 |
研究概要 |
ウサギの頚動脈を外頸静脈に移植する実験モデルを用いて、静脈グラフトの遠隔期開存率、高コレステロール血症の影響について検討した。術後4週術後の開存率は正常コレステロール値のウサギでは83%の開存率が得られたのに対し、高コレステロール血症のウサギにおいては、28.5%と有意に低値であり、術後8週間後の開存率もそれぞれ83%、35%と有意に高コレステロール血症のウサギにおいて低値であった。術後4週の早期から、高コレステロール血症が静脈グラフトの開存率を低下させる要因である事実が明らかとなった。いずれの群においても平滑筋細胞増殖による内膜肥厚病変が認められたが、内腔閉塞にいたるものではなく、むしろ高圧系に置かれた静脈グラフトの適応反応と考えられた。また、高コレステロール血症のウサギの開存グラフトにおいて、内膜直下に集積した小さな局所的泡沫細胞の集積したプラークに一致した内腔に壁在血栓を形成している像が認められた。閉塞グラフトについて病理形態的解析を行うと、内膜内に集積した泡沫細胞の付近からの血栓形成が内腔閉塞につながっている可能性を示唆する所見が得られ,これらの不安定プラークの免疫組織染色では凝固促進因子であるtissue factorが亢進していた。これらの結果から、静脈グラフト閉塞輝点の病態生理として、高コレステロール血症によって誘導された泡沫細胞の集積した不安定プラークの破綻、それに伴う血栓形成がグラフト閉塞の要因として重要であることが示唆された。 また、泡沫細胞浸潤を抑制する可能性の期待されているACAT阻害剤の静脈グラフトへの効果についても、高コレステロール血症のウサギを用いて検討した。結果として、ACAT阻害剤投与により泡沫細胞浸潤を抑制される傾向を認めたものの、内膜内に多くの泡沫細胞浸潤を認め、非投与群のウサギに比し泡沫細胞の占有面積に有意な差は得られず、開存率にも有意な差は認められなかった。よって、ACAT阻害剤の効果については、少なくとも本実験モデルでは、明らかな静脈グラフトの閉塞を予防する効果を認めなかった。 以上の結果より、強力なstatinなどを用いたコレステロール低下療法、及び血栓予防の為の抗凝固療法がバイパス術後の薬物療法として重要であることが示唆された。
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