研究概要 |
基礎研究 平成16年の動物実験にて胸部交感神経(Th1-Th5)を切除した交感神経ブロックモデルにおいて,冠血流増加作用と心筋虚血耐性作用を確認した. 臨床研究 (1)高位硬膜外麻酔(TEA群)と全身麻酔(GA群)による冠動脈バイパス術における術中,術後の自律神経解析では,LF(交感神経の指標)はTEA群で有意に抑制され,HF(副交感神経の指標)はTEA群がGA群に比べ有意に活動性が高い事が解った.また不整脈の発生はTEA群で有意に少なく,TEAは交感神経を抑制し,不整脈の発生を減少させることが確認し論文報告した. (2)TEAによる頭蓋内の血流,酸素飽和度測定を行い.TEA群ではGA群に比べ血圧低下に伴うカテコールアミン投与量が少量であり,その結果血圧60以下となるようなAuto regulationから逸脱する症例が軽減され,結果として術中脳血流が安定することが判明した. (3)高位硬膜外麻酔によるAwake OPCABの臨床例60例を経験し,全身麻酔のみの冠動脈バイパス術に比べ術後回復が有意に早く,入院期間も短いことを報告した. (4)Awake OPCAB20例と全身麻酔のみの冠動脈バイパス術症例20例ずつにおいて,Mini-mental State Examination(MMSE) TestとBenton Visual Retention Testを術前,術後3日目,術後7日目に施行した.全身麻酔群で術後3日目において両テストともに有意に低い値を示し,局所麻酔によるAwake OPCABは全身麻酔によるCABGに比べ高次脳機能が維持されることが確認された.
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