研究課題
基盤研究(B)
今年度の研究実績として、骨・軟部悪性腫瘍(肉腫)を含む各種悪性固形腫瘍に対するWT1ペプチドを用いた腫瘍特異的免疫療法の安全性と有効性を評価する目的で、天然型または改変型WT1ペプチド3.0mgをモンタナイドISA51アジュバントとともに毎週1回で3ヶ月間、計12回皮内投与する第I/II相臨床試験を引き続き実施した。今年度より、さらに強力な腫瘍特異的免疫能を誘導する目的で、BCG-CWSを免疫アジュバントとして併用する臨床試験プロトコールの改良を行なった。本臨床試験における骨・軟部悪性腫瘍(肉腫)の予定登録症例数は30例であるが、平成20年3月末日現在まで20例を適格症例としてエントリーした。これまでの効果判定の結果は、SD(Stable Disease)8例、PD(Progressive Disease)11例、中止症例1例(患者希望にて1回投与のみにて中止)であり、今のところ臨床的に明らかな腫瘍縮小効果を示した有効症例は認められていないが、皮内投与局所の皮膚発赤・腫脹以外には重篤な副作用は認めていない。今後引き続き、本臨床試験を完了しWT1ペプチドワクチンの安全性を確認した上で、骨・軟部悪性腫瘍(肉腫)の腫瘍広範切除後症例に対するWT1ペプチドを用いた補助療法としての腫瘍特異的免疫療法の有効性の検証を、新規臨床試験を通じて行なっていきたい。また、癌精巣抗原の一つであるSSX遺伝子産物を分子標的とした新規分子標的治療法についても、滑膜肉腫を中心に今後さらに研究を進めていく予定である。
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