配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2006年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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研究概要 |
ラットあるいはマウス脊髄のスライス標本(厚さ約150μm)を作成した.この標本を,酸素93%+炭酸ガス7%(pH=7.4)で通気し,37℃に加温したクレブス液で満たした観察用チャンバーに入れ,約30分間おき,その後,顕微鏡で脊髄内微小動脈(径5-10μm)を観察した.これら動脈の画像をCCDカメラで撮影し,メディアコンバータを介してコンピュータに取り込んだ.動脈径の変化は,コンピュータ上で血管径測定用のソフトウエアを用いて解析した. プロスタグランディンF_<2α>(0.5μM)を観察用チャンバーの潅流液中に入れ,約15分待って標本中の動脈の収縮反応が安定した後に,潅流液を酸素90%+炭酸ガス10%の混合ガスで通気した.この変更した混合気で通気した状態で20分間標本を観察した.高炭酸ガスにより,脊髄内動脈は拡張反応を示した. ついで,正常および神経型一酸化窒素合成酵素遺伝子ノックアウトマウスの脊髄よりスライス標本を作製した.プロスタグランディンF_<2α>(0.5μM)を観察用チャンバーの潅流液中に入れ、約15分待って標本中の動脈の収縮反応が安定した後に、アセチルコリン(0.1μM)を潅流液中に追加した。この濃度のアセチルコリンは正常マウスでは脊髄微小血管拡張反応を引き起こした.神経型一酸化窒素合成酵素遺伝子ノックアウトマウスの脊髄では,少なくともこの濃度のアセチルコリンでは脊髄内微小血管の拡張反応は認められなかった,現在、これよりも高濃度のアセチルコリンによる拡張反応の有無を検討中である. 以上の一連の研究結果から,脊髄実質内微小細動脈では炭酸ガスは血管拡張物質であり,神経型一酸化窒素合成酵素活性は,血管作動物質による脊髄微小血管拡張反応に役割を果たすことが示唆された.
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