研究分担者 |
田口 智章 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20197247)
増本 幸二 九州大学, 大学病院, 講師 (20343329)
木下 義晶 九州大学, 大学病院, 助手 (80345529)
野中 和明 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (90128067)
荻田 桂子 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40346771)
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配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2006年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
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研究概要 |
新生児外科疾患は、周産期・周術期管理、手術手技・薬物療法の発展や医療機器の発達によりその予後が大きく改善した。しかし、先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は、いまだに高い死亡率を示す予後不良な疾患である。CDHの予後を決定する因子は肺の低形成と新生児遷延性肺高血圧(以下PPHN)である。特に肺低形成に起因する絶対換気量の不足は決定的な予後不良因子となる。 肺低形成の治療は、胎児の気管閉塞術にて肺の発育を促す試みが行われているが、結果は出生後治療と差がなく、むしろ早産率を増加させた。従って現状では肺の発達を促す薬物治療が、実際的で応用範囲が広いと考えられる。 肺発生過程には、FGFやIGFといった種々の増殖因子の関与が判明している。我々はマウスの胎齢11日目から18日目までの肺を摘出し,RT-PCR法を用いて各時期の胎児肺におけるIGF-1,IGF-2,IGF-1R,IGF-2Rの発現について定量化を行った。その後,胎齢17日目に摘出した胎児肺に対して48時間の組織培養を行い,IGF-1,IGF-2投与群と非投与群について,抗BrdU染色,TTF-1,SP-Cを用いた免疫染色による比較検討を行った。 その結果,IGF-1Rは管状期から嚢状期にm-RNAの発現の強い上昇を認めた。また,組織培養後の抗BrdU抗体染色では,IGF-1,IGF-2投与群は,非投与群と比較して間質細胞の細胞数において有意な増加を認めた。また,TTF-1,SP-C免疫染色においても,IGF-1,IGF-2投与群において、陽性細胞の増加をみた。 IGF-1Rは、肺発生過程の管状期から嚢状期に強く発現し,成獣になると発現は低下する。肺発生の上皮間質相互作用においてIGF-1,IGF-2は,IGF-1Rを介して間質細胞に働きかけ,肺胞上皮の成熟を促進する可能性が示唆された。この結果,胎児期の母体へのIGF投与は,低形成肺の成熟を促進できる可能性が示唆された。
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