配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2005年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2004年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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研究概要 |
歯の発生過程および歯の損傷後の歯髄修復過程における細胞のダイナミクス,および歯における組織幹細胞に関して検索し,以下の事を明らかにした。 1.歯胚上皮および間葉細胞は細胞増殖終了後にストレスタンパク質HSP-25発現を獲得し,HSP-25が細胞増殖から分化へのスイッチとして働くことが示唆された。一方,象牙芽細胞,エナメル芽細胞におけるHSP-25の持続的発現は形成細胞の機能発現に関与すると考えられた。 2.歯の幹細胞ニッチェは常生歯の形成端に存在し,常生歯形成端には歯胚が恒久的に維持されている分子機構が存在することから,我々はこの特別な歯の幹細胞ニッチェの領域を示すapical budという新しい用語を提唱した。 3.CrTmEr : YAGレーザーおよび半導体レーザー照射後の歯髄修復機構を明らかにした。半導体レーザー照射においては象牙質の切削なしに歯髄腔内に硬組織形成が誘導されること,および,照射出力の増加に伴って象牙芽細胞が不可逆的ダメージを受け,歯髄の損傷程度によって歯髄内に骨組織形成が惹起されることが明らかとなった。 4.歯の再植後に歯髄内にTRAPおよびCK陽性の破骨細胞系細胞が出現することが歯髄内骨組織形成の起点となることが明らかとなった。また,意図的再植時間の延長と咬合力が象牙芽細胞系細胞の生存ばかりでなく,歯の再植後の歯髄治癒パターンに影響を与えることが明かとなった。 5.歯の移植実験により歯髄腔内骨組織形成には歯髄組織が必須であることが明かとなり,歯髄内には象牙芽細胞系細胞と骨芽細胞系細胞の異なる細胞群が存在することが示唆された。 6.高齢ラットにおいて歯髄防御・修復機能が保持されていることが明らかとなり,高齢ラットでは個体により象牙芽細胞の突起もしくは細管内の状態が異なることが予想され,この違いが窩洞形成後の歯髄反応の多様性を引き起こしていると考えられた。
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