研究分担者 |
安田 元昭 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (90239765)
赤坂 司 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (00360917)
進藤 正信 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20162802)
堀内 留美 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (10374274)
|
配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2006年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2005年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2004年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
|
研究概要 |
本研究においては,カーボンナノチューブ(CNTs)を用いて顎骨再生を図ることを目的とし,CNTsの生体適合性の解明,CNTsを用いた骨芽細胞培養用スキャホールドの作製と細胞培養,および骨補填材としてのCNTs固化体の生体適合性の検討を行った. CNTsをラット皮下組織に埋入し,2年間経時的に組織学的,超微細構造学的に検索した.埋入初期では,周囲に肉芽組織が観察され,一部のCNTsはマクロファージに貪食されており,2年後においては軽度の肉芽腫性炎が認められた.透過型電子顕微鏡による観察では,埋入初期においては細胞内でCNTsの強い凝集が認められたが,経時的に凝集は弱くなる傾向を示した.また,CNTsの特有なチューブ状の構造には,ほとんど変化が認められなかった.これらの結果から,CNTsの起炎性は低く,生体内で安定であることが明らかとなった. CNTsを脱イオン水に分散し,ポリカーボネート膜(PC膜)で吸引ろ過することにより,細胞培養用のスキャホールドを作製した.このスキャホールド上で骨芽細胞様細胞を培養すると,細胞の形態は扁平であり,増殖はPC膜より速く,アルカリフォスファターゼ活性も高い結果が得られた.このスキャホールドをGBR膜として,ラット頭頂骨に作製した骨欠損部に応用すると,コントロールであるPC膜に比較し,骨修復は速い傾向を示した. CNTsをプラズマ放電焼結法により作製したCNTs固化体は,骨に近似した機械的性質を有しており,皮下組織および大腿骨に埋入したところ,優れた生体適合性を示し,骨補填材としての可能性が示された. 以上の結果から,CNTsを用いた顎骨再生療法の可能性が示唆された.
|