配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2004年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
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研究概要 |
我々は,本研究を米国UCLAの西村一郎教授と共同で行い,「未分化なマウス骨髄間質幹細胞(mBMSC)は,多様な遺伝子を発現しており,ひとたび目的方向へ誘導されると不必要な遺伝子群が選択的に抑制され,最終的に標的組織系細胞の形質が残る」という結果を報告した(J Biol Chem.2005;280:23691-7)。 また,ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)の分化過程においても,遺伝子群の抑制が起きている可能性を検索する目的で,西村らが作製した細胞外基質関連遺伝子群をターゲットとしたcDNAマイクロアレイを用いた実験を行った。この結果,hMSCの骨系分化においても,多数の細胞外基質関連遺伝子の発現抑制が観察された(Tissue Eng. revision)。 さらに,このような成体幹細胞における選択的遺伝子の抑制におけるエピジェネティクスな機構の関与を探るため,mBMSCの骨系分化モデルにおけ,る,グローバルなゲノムのメチル化プロファイルをRestriction Landmark Genomic Scanning(RLGS)法を用いて検討した。その結果,骨系分化によってmBMSCゲノムにおける約1,000個のRLGSスポットに1%程度の変化が観察された(国際歯科学会2007にて発表)。また,mBMSCを骨芽細胞系に分化誘導し,骨関連遺伝子のプロモーター領域のCpG配列のメチル化の状態を,bisulfiteシークエンス法により検討した。この結果,骨系細胞ではosteocalcinのmRNA発現が上昇するが,これに伴いプロモーター上のCpGメチル化状態が変化していることが明らかとなった。 以上の結果から,成体間葉系幹細胞の分化過程には,分化組織に特異的な遺伝子群以外の遺伝子発現を抑制する機構が存在し,これにはエピジェネティクスな要因が関与していることが示唆された。
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