研究課題/領域番号 |
16390611
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
歯周治療系歯学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島内 英俊 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70187425)
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研究分担者 |
金谷 聡介 東北大学, 病院・医員 (80375097)
板垣 由美 東北大学, 大学院歯学研究科, 助手 (10223067)
菅原 俊二 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (10241639)
高橋 信博 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (60183852)
荘司 佳奈子 東北大学, 大学院歯学研究科, 助手 (90302158)
根本 英二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40292221)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
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キーワード | 歯周炎 / 全身疾患 / メタボリックシンドローム / Porphyromonas gingivalis / 免疫エスケープ / 全疫エスケープ / アディポネクチン / 血糖値 / TNF-α / TLR2 / 樹状細胞 / 実験的歯周炎モデル / P.gingivalis |
研究概要 |
本研究の主たる目的は、未だ明らかではない歯周病→全身疾患の関係における"missing link"を分子生物学的に詳細に解析しようとするものである。そのため歯周病原菌の生体内侵入の可能性、歯周病原菌感染に伴う様々な臓器の細胞内情報伝達系に関わるタンパク質発現の動態を網羅的に解析し、全身に作用を及ぼす特徴的な因子を発見することを目指した。そのために本研究では最も普遍的にみられる病型である慢性歯周炎(AAPの旧分類における成人性歯周炎)と関連が深い歯周病原菌Porphyromonas gingivalis由来の病原因子に着目し、その特徴的な生物活性が歯周病巣局所と全身との関係においていかなる病原性をもたらすのかについてin vitroにおいて解析を行った。また歯周病が影響を及ぼすとされている疾患である糖尿病や心血管疾患はいわゆる生活習慣病とされており、現在では肥満を基盤とする一連の代謝症候群、メタボリックシンドロームという概念の中で発症連鎖していくと考えられている。そこで動物実験系を用いて、(1)歯周病と脂質異常における歯周病原菌P.gingvalis感染の役割、(2)アディポサイトカイン産生に及ぼすP.gingivalis病原因子の役割、(3)糖尿病罹患における歯周病増悪機構の解析をin vivoで行った。本研究の結果は、P.gingivalis病原因子は歯周病巣局所における免疫系の活性化が弱く、そのため免疫防御から同菌がエスケープして生体内へ侵入するという新たな病原性発揮機構の存在を強く示唆するものであった。またひとたび生体内に侵入した同菌由来菌体物質はアディポサイトカイン、特にアディポネクチンの産生異常を引き起し、メタボリックシンドローム発症リスクを高めるという仮説が新たに本研究の成果より提示された。また糖尿病病態ラットを用いた実験からは糖尿病が単に歯周組織の破壊を増悪させるばかりでなく、治癒機構の遅延を引き起し、それがP.gingivalisなどの侵入口となり全身疾患連鎖のリスクを高めていくと考えられた。すなわち本研究の成果は、歯周病と全身の関係においては歯周病原菌感染が最大のリスク因子であることを示した。
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