研究課題/領域番号 |
16401015
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤井 純夫 金沢大学, 文学部, 教授 (90238527)
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研究分担者 |
三宅 裕 筑波大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (60261749)
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
13,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 840千円)
2007年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2006年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 壁際廃屋葬 / 西アジア / 遊牧民 / 墓制 / 新石器文化 / ワディ・アブ・トレイハ / 新石器時代 / 考古学 / ヨルダン / ジャフル盆地 / ジャバル・ジュハイラ / 初期遊牧民 |
研究概要 |
本研究の目的は、考古学的痕跡を残さないがゆえ追跡困難とされてきた西アジア遊牧化の過程を、唯一の手がかりとなり得る墓制面から、具体的に追跡することである。そのため、ヨルダン南部ジャフル盆地の北西に位置する二つの新石器時代遺跡を発掘調査した。 そのうちの一つ、ワディ・アブ・トレイハ遺跡(Wadi Abu Tulayha)は、先土器新石器文化B中・後期の移牧拠点である。この遺跡では、「壁際廃屋葬」(住居の正面壁直下におそらくは家長の遺体を埋葬し、このことをもって当該の住居を廃棄すると同時に、それに隣接して新たな家長のための新たな住居を構築するという、一風変わった葬制)の存在を明らかにした。一方のハラアト・アル・ジュハイラ遺跡(Harrat al-Juhayra)は、これに後続する時期の葬祭遺跡である。ここでは、壁際廃屋葬の退化形態と見なし得る「擬住居ケルン墓」の風習が明らかになった。 これら一連の調査によって、「移牧民の壁際廃屋葬」から「初期遊牧民の擬住居ケルン墓葬」への墓制変遷が把握され、これを通して、ジャフル盆地遊牧化の過程を具体的かつ高い精度で追跡できることが確認された。西アジアのみならず、世界史全体の重要課題であった遊牧化の経緯について、一つの具体像を示し得たことは意義深い。このほか、西アジアにおける移牧の開始が先土器新石器文化B中期にまで遡ること、よって、ヤギ・ヒツジ家畜化の時点から直ちに移牧が始まっていたと考えられること、その時点ですでに水槽やダムなどの水利施設がステップの移牧先集落に伴っていたこと、などの新事実も明らかになった。
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