研究課題/領域番号 |
16401035
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 北海道開拓記念館 |
研究代表者 |
氏家 等 北海道開拓記念館, 事業部, 研究員 (70113462)
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研究分担者 |
朝倉 敏夫 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (40151021)
村上 孝一 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (50150157)
山田 伸一 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (30291909)
池田 貴夫 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (30300841)
會田 理人 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (20370223)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
2006年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2004年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 国際研究者交流 / サハリン / 韓国 / 朝鮮人 / 移住 / 文化変容 / 生活文化 / ライフ・ヒストリー / 衣食住生活 / 行事と信仰 / 異文化接触 / ロシア |
研究概要 |
日本時代から現在に至るサハリン朝鮮民族の生活文化の変遷について、サハリン州や帰還者の住む韓国安山市において、約30名のサハリン朝鮮人の方々から基礎的情報を収集し、記録にとどめてきた。その結果、朝鮮文化のなかでも、オンドルや頭上運搬のような日本時代ないしソ連時代初期に失われた文化要素が少なくない一方で、日本→ソ連→ロシア時代を通じて、(1)日本時代を経験した多くの朝鮮人がウズベキスタンの朝鮮人から餅米を取り寄せ、臼と杵を使って餅を掲き続けてきたこと、(2)ロシア人の墓とは対照的に朝鮮人の墓は盛り土の前に墓石を立てる朝鮮半島方式を守ってきたこと、(3)還暦の行事を朝鮮方式で行い続けてきたなど、継続して守ってきた文化があったことを確認し、食文化や精神文化に関する文化要素は残り、住生活、衣生活などにおいてはその継承が難しかったことを明らかにした。 一方、サハリン朝鮮民族は、多様な民族的関係史のなかで、韓国スタイル、北朝鮮スタイル、日本スタイル、ロシア・スタイルをそれぞれ重層的に取り入れた多重化したライフスタイルを構築してきた。また、ペレストロイカ以降の自由主義経済の展開を通じ、韓国人、北朝鮮人、沿海州の朝鮮人、中国人、日本人との交流関係が定着し、そのライフスタイルはより多角化の傾向にあることがわかってきた。日本時代を経験した朝鮮人、ソ連時代に生まれ育ち多くを社会主義経済下で過ごした朝鮮人、ペレストロイカ前後に生まれ育ち多くを自由主義経済下で暮らした朝鮮人など、世代間でそのライフスタイルの指向に違いが見られる事実も浮かび上がっている。韓国安山市等に帰還した元サハリン在住者の間では、周囲にロシア文化を流入させ、韓国文化を拒否する人々が相次ぐなどの課題も生じている。これら新たに生じた課題に踏み込むことにより、サハリン朝鮮民族の文化に対する理解がより深まることとなる。
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