研究課題
基盤研究(B)
本科研では、アジア4ヶ国(日本、韓国、中国、台湾)、欧州3ヶ国(イギリス、ドイツ、フランス)の1960年と2000年に出版された小学校国語教科書に描かれた発達観について、家族像、性役割観、親役割観、いい子像の側面から通文化・通時的な比較を行った。またこれらの結果について、社会体制、経済的状況、少子化政策との関係を検討した。さらに東アジアの4ヶ国の10代後半〜80代を対象に親役割観、性役割観、保育観に関する質問紙調査を行った。そして教科書に描かれた理想像としての発達観、質問紙調査の結果得られた実像の発達観、さらに各世代に影響を与えた社会・経済状況との関連性についてまとめた。研究結果の概要は以下の通りである。1.台湾と中国、旧東ドイツと旧西ドイツのように、ほぼ同じ言語を使用していても、社会体制が異なると親役割観や性役割観は異なる。但し、発達観の中でも「いい子」像に関わる価値観は、社会体制が異なっても民族的に近ければ類似している。2.経済状況の変化は女性の雇用状況を変えていくが、それらを内側から支える性役割観に関する記述は、欧州とアジアでは異なる。3.親役割観、性役割観、保育観は時代によって変わる傾向があるが、対人関係や自己のあり方に関わる「いい子」像に関しては、変化しにくい。4.東アジア4ヶ国で実施された質問紙調査から、実際の親役割観や保育観も国や時代によって異なっており、社会状況や経済状況の安定性、少子化対策などと関係している。また東アジア4ヶ国に共通するのは、30歳代で大きな価値観の転換が見られる点である。
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