研究分担者 |
鈴木 宣弘 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80304765)
佐藤 加寿子 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (80294908)
松原 豊彦 立命館大学, 経済学部, 教授 (50165859)
千葉 典 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80346692)
磯田 宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00193392)
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研究概要 |
第一に,現在WTOとFTAの組み合わせによって市場統合を進めることが試みられているが,その際輸出補助金の撤廃が問題となっている.主要な貿易品目である穀物,乳・乳製品について隠れた輸出補助金の存在を明らかにし,その大きさを米国,カナダさらにはオーストラリアおよびニュージーランドの各国毎に計量的に示した. 第二に,北米諸国間における農産物貿易の動向を米国からの輸出入を中心に統計分析をおこなった.北米自由貿易協定発効後の米国の農産物貿易において北米地域の重要性が増してきており,当該地域では穀物および飼料が米国の輸出部門としていっそう成長していること,園芸作部門では域内貿易の相互浸透が進展する中でメキシコに対する入超とカナダに対する出超傾向が確立していることが明らかとなった. 第三に,以上のような状況の下での各国の農業構造の変動と多国籍アグリビジネスの役割を,チリ,ブラジル,メキシコ,カナダ,米国での現地調査をもとに明らかにした.まず,チリでは多国籍企業等の輸出業者が輸出向け果実・野菜生産を直営生産と契約生産によって組織化するが後者が主流となってきていること,生産者に着目すると,技術者や企業家が輸出向け生産に参入して担い手になるタイプと,小農民が土地の私的所有化にともなって再度両極分解して商業的経営が形成されて担い手になるタイプという二つの系譜の存在が析出され,それらにおける契約取引内容が明らかになった.次にブラジルでは,低迷する国際コーヒー価格のもとでの有機栽培への自主的取り組みの実態が明らかとなった.メキシコでは,北米自由貿易協定のもとでの連邦政府の農政転換の詳細とプエブラ州における州レベルでの政策展開,特定農村において付加価値生産共同事業への農家の取り組み実態を明らかにした.さらにカナダにおけるアグリビジネスの直接投資の動きと農業生産者による新世代農協設立の動き,米国カリフォルニア州の酪農における一層の規模拡大の動きを明らかにした.
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