配分額 *注記 |
9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
2006年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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研究概要 |
本研究により得られた成果は以下のように要約される. 1.インダス縫合帯沿いに分布するモラッセ堆積物(衝突時堆積物)であるヘミス礫岩に含まれるチャート礫より,後期三畳紀〜前期白亜紀の放散虫化石を得た.これらの礫はセノテチスの海洋底を構成していたチャートであると考えられるので,ラダックヒマラヤにおいては,セノテチスの開口(カラコルムブロックのゴンドワナ大陸北縁からの分裂)は中期三畳紀以前に遡ることが明らかとなった. 2.シュヨク縫合帯沿いに分布する陸棚相海成層は,中期ジュラ紀(Callovian)のアンモナイトを含むソルタック層,中期白亜紀(Albian)の有孔虫オルビトリナ類を含むシュヨク層に区分される.このことは,シュヨク縫合帯沿いの海洋の閉鎖時期が後期白亜紀以降であることを強く示唆する. 3.セノテチスを構成する海洋プレートの沈み込みにより形成されたラダック島弧の主要構成メンバーである火成岩類は,構成鉱物の化学組成からカルクアルカリ岩であり,そのK-Ar年代は50〜51Maである.また,ラタック島弧北縁部には同じくカルクアルカリ岩の特徴を示し,64〜66Maの年代を持つ花崩岩・閃緑岩等も分布する.従って,セノテチス海の沈み込みに関連した火成活動は,インドーユーラシアの衝突イベントの前に,少なくとも50〜66Maの1600万年間にわたって続いていたことが明らかとなった. 4.カラコルム断層沿いに発達するマイロナイトには,現在の活動と一致する右横ずれを示す剪断指標以外にも,縦ずれを示す線構造や引張を示す変形構造が認められ,1500万年以上に渡る長く複雑な変形史を記録していることが明らかとなった.また,動的再結晶石英のアスペクト比等から,高温領域では幅の広いマイロナイト帯が形成され,断層沿いの温度低下とともに剪断帯の幅は狭くなっていったと考えられる.
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