配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2006年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2005年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2004年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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研究概要 |
ボウ・アゼールオフィオライト(モロッコ)は原生代のオフィオライトとしては例外的に保存がよいということであるが,それでも断片化および岩石の変成/変質の程度は高い。かんらん岩,ガブロ(主として等方ガブロ),わずかな岩脈群および火山岩が露出している。マントル部は比較的広く露出しているが蛇紋岩化は完全であり,ハルツバーガイトはフォリエーションが発達する。ダナイトはすべて調和性であり,パイロクシナイトのみ非調和性である。小規模な調和性クロミタイトが認められる。ガブロとのコンタクト近くではダナイトが卓越し,ガブロのバンド(厚さ数m以下)に富み,モホ遷移帯の岩相を示す。かんらん岩は残留組織およびクロムスピネル組成から岩相や初生的性質を推定した。ハルツバーガイトのスピネルのCr#は6.6を越え,枯渇度が高い。クロミタイトのスピネルのCr#も0.7を越える。この枯渇したマントルは,原生代のオフィオライトの特徴であると思われる。また,オマーンなどの顕生代オフィオライトに顕著なウェールライト質の後期貫入岩体も見いだされた。総体的に,マントル部分の枯渇度が高いことを除けば,顕生代オフィオライトと類似な性質を示すことがわかった。 ボウ・アゼールオフィオライトで特筆すべきは,蛇紋岩中の二次的磁鉄鉱(しばしばNiを含む)のクロット〜脈状の集積と,Mn,Co,Niに富む(含む)二次的クロムスピネルの生成であろう。これらは,かんらん石の蛇紋石化に伴う鉄族元素の移動と集積を示唆する。ボウ・アゼールオフィオライトはその境界部で大規模なCo鉱床が形成されていることで有名であるが,蛇紋岩化との関係が注目される。
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