研究課題/領域番号 |
16403011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
地球宇宙化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
杉本 敦子 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (50235892)
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研究分担者 |
大手 信人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 准教授 (10233199)
香川 聡 北海道大学, 森林総合研究所, 研究員 (40353635)
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (40222955)
一柳 錦平 海洋研究開発機構, 地球環境研究センター, 研究員 (50371737)
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育センター, 准教授 (60237071)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
13,570千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 570千円)
2007年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2006年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 永久凍土 / タイガ林 / 光合成 / 炭素固定 / 水循環 / 年々変動 / 生態系 / 生産量 / 炭素循環 |
研究概要 |
永久凍土上の乾燥気候帯に広がる東シベリアタイガ林生態系は、降水量や水分環境に対応して年々大きな変動を示す。その応答を明らかにするため、ヤクーツク郊外のスパスカヤパッドにおいて観測を行った。土壌水の収支を解析し、土壌水分は夏の降水量と蒸散量のバランスにより増減すること、通常は、土壌水分の流出はほとんどないが、極端に湿潤な状態では流出が起こっている可能性が示された。また、土壌水とカラマツ枝中の水の安定同位体比の測定結果は、夏の後半の乾燥時は活動層下部の同位体比の低い水が上部に運ばれて蒸散に利用され、湿潤時は夏の雨が浸透して蒸散に利用されることを示していた。 炭素循環に関わる植生パラメータも土壌水分に依存して変動した。晴天日の個葉の光合成速度は、夏の前半は融雪水が利用できるため、年々変動は小さいが、夏の後半は、乾燥時には光合成が制限された。樹木の生長(幹の周囲長の年間増分)も、その年の夏の土壌水分と相関を示した。一方、カラマツ葉の炭素同位体比は、前年の夏の後半の土壌水分に依存して変動した。これは,落葉性針葉樹のカラマツが極端な乾燥と湿潤を繰り返す厳しい環境を生き抜くために、良好な環境の時に光合成で獲得した炭素をいったん樹体に蓄積し、翌年以降に葉の生産に利用するという特徴的な応答であると解釈できる。このことは、観測サイトで行った13CO2トレーサー実験の結果でも支持された。また、カラマツ葉の生産量(リターフォール)は、土壌水分の変動からさらに1年おくれて増減している可能性が示された。夏の降水により土壌が湿潤になると、翌年まで土壌水分が持ち越され水分環境が良い。これに加えて翌年の葉の細胞が作られる夏後半に日射の条件が良ければ、葉の生産量が多くなることを示唆している。
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