研究課題/領域番号 |
16405014
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
生物多様性・分類
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研究機関 | 首都大学東京 (2006) 京都大学 (2004-2005) |
研究代表者 |
村上 哲明 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 教授 (60192770)
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研究分担者 |
加藤 真 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80204494)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2006年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2005年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2004年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | 台湾 / 分子植物地理学 / 暖温帯 / 葉緑体DNA / 塩基配列 / 食植性昆虫 / 照葉樹林 |
研究概要 |
本研究では、これまで日本産の材料について詳しく分子植物地理学的解析を行ってきた暖温帯性の植物のうち、特にボタンボウフウとツワブキについて台湾産のものも含めて詳しい解析を行うことができた。その結果、以前の研究で明らかになっていた南琉球地域(八重山諸島、具体的には石垣島と西表島)の集団に見られた遺伝的特異性が、これらの集団が台湾の集団と遺伝子交流を行ったために生じたものではなくて、これらの地域の集団が台湾からも琉球列島の他地域からも長期間にわたって隔離されてきたために生じたものであることが明らかになった。さらに台湾のランユウ島の集団は、台湾の他集団よりも奄美・沖縄諸島といった中琉球地域の集団とアロザイム多型の類似性が高く、葉緑体DNAのハプロタイプも共通するものをもっていた。これらの事実と、ランユウ島がごく最近まで噴火活動を行っていた火山島であることを考慮すると、ランユウ島の集団が中琉球地域からの稀な種子分散によって形成されたことが考えられた。これは良く議論されてきた南→北の分布拡大のみならず、少なくとも稀には北→南の分布拡大も起こったことを強く示唆しており、非常に興味深い結果である。 また、本研究では、日本及び台湾のブナ科植物につくシギゾウムシ類の分子系統地理学的研究も行った。具体的には、ブナ科植物のドングリを集めて、それに寄生していたゾウムシ類の幼虫のミトコンドリアDNAの多型を調べた。一般に動物のミトコンドリアDNAは、植物のミトコンドリア、葉緑体、あるいは核DNAの10〜100倍程度の分子進化速度をもつことが知られている。実際、シギゾウムシ類のミトコンドリアDNAを解析したところ、植物の葉緑体DNAとは桁違いに大きな種内、及び集団内多型が見られた。これらの豊富な多型情報に基づいて日本国内の地域間の関係や台湾集団との関係が示唆された。
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