配分額 *注記 |
11,590千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 690千円)
2007年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
トリ白血病ウイルス(ALV)は通常造血器系腫瘍を誘発するが, ALV-Aに属すトリのグリオーマ誘発ウイルス(FGV)は星状膠細胞腫を誘発する。FGVは国内初発例を生産した富山のA動物園から国内に拡がったと推察されるが,FGVがいつどのような経緯で神経系への腫瘍原性を獲得したのか,その詳細はいまだ明らかにされていない。本研究課題では,まずFGVの3'UTR領染域に特異的なnested PCRを確立し,A動物園およびA動物園から鶏を譲渡された3つの動物園の日本鶏計129羽の感染率を調べた。その結果,4ヶ所の陽性率は26〜56%で,分離した14株の分子系統解析によりこれらはFGV変異株であることがわかった。次に血縁関係のない鶏を調べた。日本鶏の伝播経路に沿ってインドネシア,フィリピン,韓国および日本を含む国内外7ヶ所の在来鶏または日本鶏計264羽を検索した。264羽のうち海外の鶏9羽を含む29羽がNested PCR陽性で, PGR増幅産物の塩基配列はFGVと98%相同であった。国内の鶏6羽からはFGVが分離された。一方,国内の採卵鶏にグリオーマと皮下腫瘍併発例が見出され,これらからFGVとは異なるALV(TymS_90株)が分離された。さらに神経周膜腫や神経線維腫が他の日本鶏から見つかり,これらからは内因性レトロウイルスの変異株が検出された。以上の成績から,国内にはFGV変異株が蔓延していること,FGVは国内初発例の鶏と血縁のない国内外の鶏にも感染していること,国内にはFGV以外にも神経系に腫瘍を誘発するALVが存在することが明らかとなった。結論として,FGVは富山で出現したのではなく,他の地域で出現し,その後FGV感染鶏が富山に持ち込まれ繁殖に利用されたと推察される。
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