研究課題/領域番号 |
16406024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
渡辺 能行 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (00191809)
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研究分担者 |
小笹 晃太郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (20204191)
三木 一正 東邦大学, 医学部, 教授 (70107639)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2005年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2004年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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キーワード | 慢性萎縮性胃炎 / 胃癌 / ピロリ菌 / アジア系移民 / 日本人 / 疫学 / 喫煙 / 飲酒 / 萎縮性胃炎 / ペプシノゲン / ヘリコバクタ・ピロリ |
研究概要 |
米国シアトル市のアジア系移民を対象として胃癌の前駆状態である慢性萎縮性胃炎(CAG)とピロリ菌を含む危険要因の関連を調べ、それらの要因について日本在住日本人と比較した。日本、韓国、ベトナム、中国、フィリピンからの移民約1,000人が教会やコミュニティセンターなどを通じて調査に参加した。自己記入式質問票により、既往歴、食生活、及びライフスタイル等について調査した。採血は自己採血濾紙セットを用いて指先から4滴の血液を濾紙に落とし、乾燥させた後に日本に速達便で空輸してディスク法によりピロリ菌抗体検査とペプシノゲン法を用いたCAGの診断を行なった。 日本人移民(即ち日系人)については1994年の凍結血清の分析結果でCAG無しの者だけを調査対象とした。196名の参加者中4名のみがペプシノゲン陽性であった。即ちCAGの発生率は1994年から2004年までの10年間に2%であった。 年齢訂正ピロリ菌感染率は日系移民26.0%(1994年の検体による)、フィリピン系移民26.3%、中国系移民36.1%、韓国系移民39.2%、ベトナム系移民41.3%、日本の農村地区住民70.6%(1989年の検体による)であった。年齢訂正慢性萎縮性胃炎(CAG)率はフィリピン系移民2.2%、中国系移民4.6%、ベトナム系移民6.3%、韓国系移民7.6%、日系移民11.6%(1994年の検体による)、日本の農村地区住民34.3%(1989年の検体による)であった。 多重ロジスチック回帰分析の結果、CAGのリスクを推定するためのピロリ菌に対するオッズ比(OR)はフィリピン系移民(OR=2.8)以外は全て有意であり、中国系4.7、日本の農村地区住民7.8、ベトナム系8.9、日系10.6、韓国系15.6であった。ピロリ菌以外の要因で有意となったのは日系移民で20年以上の日本での在住経験であり、日本での未知の環境要因への暴露が慢性萎縮性胃炎のリスクを高めていることを示唆している。ピロリ菌感染が日本人と日系移民のCAGのリスクを圧倒的に高めているのに対して、アジア系移民集団ではピロリ菌感染を含めた全てのリスク要因がCAGのリスクに有意に関連していることに特徴が認められた。
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