研究概要 |
本研究の目的は,急速に複雑化しつつあるXMLデータの変換処理にパターン照合技術のひとつである高階ナローイングの手法を導入することで,複雑な変換処理の記述を省力化する新しい基盤技術を整備することである.主要な研究成果は以下の3点である. 1.XMLデータの文脈捕獲を可能にするパターン照合アルゴリズムの設計 2.上記アルゴリズムの理論的性質の解明と正当性を保障する厳密な証明の構築 3.上記アルゴリズムの効率的な実装方式の検討 1に関しては,まずBrzozowski Derivativeとして知られる正規表現の処理方式を,本研究者らが新たに考案した不完全正則木表現に対して拡張した.その上で,本研究者らが以前より開発してきたパターン照合技術である高階ナローイング計算系の手法を応用することで,XMLデータの型の整合性を保持しつつ,そのデータの文脈の捕獲を可能にした.2に関しては,設計したパターン照合アルゴリズムが求解に関して健全かつ完全であることの厳密な証明を行った.これにより本アルゴリズムを安全に使用するための理論的保障が得られた.3に関しては,本アルゴリズムの試験的な実装を行い,本アルゴリズムの効率的な実装方式を明らかにした.実装したシステムはオープンソースとして公開した.
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