研究概要 |
研究期間中に8論文(1著書、7論文誌)を発表した。主なもの4件について詳細を述べる。 (1)H.Masuyama and K.Watanabe,"New Non-Adaptive Distributed System-Level Diagnosis Methods for Computer Networks"e-Business and Telecommunication Networks, Springer, pp.117-124,2006. 本論文は、本研究代表者が提案している新しいコンピュータ・ネットワークの診断法について、理論的シミュレーションにより、その有効性を発表したものである。本法の着眼点は、ハイパキューブの持つ指数関数的性質を診断手順に採用して、故障診断時間を理想的なまでの準最小にする方法を検討したものである。各種の拡張方法を検討し、故障診断時間、平均移動パケット数、統計的故障分布の下での有効性などの点から特に有効な方法を提案している。さらに、他のアルゴリズムとのDiagnosis Latencyの比較結果について明らかにしている。 (2)H.Masuyama, K.Murakami, and T.Sasama,"Algorithms for Energy-Efficient Broad- and Multi-Casting in Wireless Networks"4-th International conference on Networking, pp.221-230,2005. 本論文は、ワイヤレス通信上での新たな経路探索アルゴリズムとして、けちけち法によるブロードキャスティング・アルゴリズムを提案し、けちけち法、欲張り法、ダイクストラ法によるアルゴリズムの性能を放送コストと計算時間の点で評価し、それぞれのアルゴリズムに適したネットワークの形状について検討している。さらに、マルチキャスティングについても検討を加え、上記の2指標に関してトレードオフの関係があることを明らかにしている。 (3)H.Masuyama, Y.Fukudome, and T.Ichimori,"One-to-All and All-to-All Broadcasting Algorithms in Cellular Networks,"Proceedings of ICETE 2005,0ct.2005. 本論文は、セルラー・ネットワークにおけるブロードキャスティングに関して、各放送ノードに固有の放送木を設定するのでなく、全てのノードに共通の放送木を予め準備する場合の問題点について検討している。最適な放送木とは最小の直径を持つ全域木であることに着目して一対全通信アルゴリズムを構築した。さらに、枝の総数が最小になる一対全通信木の集合を全対全通信に用いることを提案している。耐故障放送アルゴリズムも提案している。 (4)H.Masuyama and Y.Fukudome,"New Optimal Channel Assignment for Hierarchical Cellular Networks,"CD ROM Proceedings of International Conference on Digital Telecommunications,2006. 本論文は、セルラー・ネットワーク上でブロードキャストする際の経路決定問題について検討している。本論文は、経路決定において、各ソースに特定の放送木を準備するのでなく、各ソース共通の放送木を準備することにして、その為の最低放送木として直径最小の全域木を提案している。放送時の接続率を高くすることも重要で、ラジオ・チャネルを効率よく割り当てる方法として、repacking技術を応用したチャネル割り当て方法についても検討している。
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