研究概要 |
LSIの設計製造技術の進歩に伴い,製造不良による故障時のLSIの動作が多様化し,接続不良やタイミングに影響する遅延故障,クロストーク故障などが問題視されている.本研究では,これらの異なるモデルで表現される複数のタイプの故障を検出するため,縮退故障用のテストパターンの欠陥検出率向上手法,遅延故障に対する高品質テスト生成手法,故障診断手法,および,これらの手法の基盤となる要素技術の開発を行った.具体的には,以下の5項目について研究を行い,それぞれ以下に示す成果をあげた. (1)縮退故障用テストパターンのブリッジ故障検出率向上の研究 成果:与えられた縮退故障検出用テストパターンに含まれるドントケアビットを識別し,ドントケアにブリッジ故障を検出する値を割り当てる手法を開発した. (2)テストパターン中のドントケア判定の研究 成果:テストパターン中のビットを従来より高精度に見つける手法を開発した.その応用として,ドントケア判定に基づくテストパターン変換をテスト圧縮に利用し,スキャン設計によりテスト容易化された回路のテストデータ量・テスト時間削減方法を提案した. (3)遅延故障に対する高品質テストの研究 成果:パス遅延故障と遷移遅延故障を対象に少ないパターン数で高品質なテストパターンを生成する手法を開発した. (4)X故障モデルによる故障診断の研究 成果:様々な故障モデルを包含して扱えるX故障モデルを用いたper-test故障診断手法を開発した. (5)高速故障シミュレーション手法の研究 成果:コンパイル方式とイベントドリブン方式のシミュレーション手法を統合し,双方の利点を生かした高速故障シミュレータを開発した.
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