研究概要 |
研究目的は,携帯情報端末による直感的3次元情報空間ナビゲーション手法の提案と評価である.提案手法の一つである"Handy Window"では,目的とする情報機器に携帯情報端末を近づけることによって選択し,ディスプレイの背面に差し入れた手指で情報空間内のオブジェクトをつかみ移動するかのようなしぐさによって情報空間内のオブジェクトを移動する.実験により,提案手法は直感性において優れていることを示している.次に,携帯情報端末の向きの変化によって情報空間内の視線の向きを変化させる際の変化量比(C-D比)を適切に選ぶことによって,効率向上と身体的負担軽減の可能性があることを示している.また,3次元情報空間における基本操作と携帯情報端末ユーザの動作との,直感的で効率的な対応付けを見出すための評価実験により,視点位置の変更には端末の位置の変更が,視線の変更には端末の向きの変更が,そしてオブジェクトの操作には手指によるつまむあるいはつかむという動作が適切であることを見出している.さらに,携帯情報端末内に蓄積された多量のファイルを探索・操作するための手法を提案している.本提案手法では,ユーザの位置を中心とした3次元情報空間にファイルが木構造で配置され,木の頂点がユーザの方向に向けられている.ユーザは,目的の木が存在する方向に携帯情報端末を向けることによって,その木を閲覧することができる.さらに,手指のジェスチャによって3次元情報空間内のファイルを移動させることができる.実験により,この提案手法は操作方法の理解と情報空間内でのファイル位置の記憶が容易であることを示している.そして,ピンイン入力時に携帯電話の傾きを用いて中国語の声調を指定することで選択候補の個数を減らし,中国語漢字入力を高速化する手法を提案し,ピンイン入力のみによる従来手法に比べて約12%高速に入力できることを示している.
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