研究概要 |
本研究では,感性に基づくウェブ上のマルチメディアデータの相互検索における検索精度の向上を目的として,(i)特徴量に加えキーワードとして名詞と形容詞をも利用する検索手法の検討,ならびに,(ii)通常の個人適応に加えて,気分適応と呼ぶその時の気分を反映可能とする的確できめ細かな適応の実現に関する検討を行った. キーワードとして名詞と形容詞をも利用する検索手法の検討では,ウェブのページ上の画像に対するキーワードとして,その画像の掲載されているページからその画像のキーワードにふさわしい名詞と形容詞・形容動詞の抽出を試みた.有効性を実験により評価したところ,名詞の文書キーワードについてはかなり良い結果が得られているが,名詞の話題キーワード,ならびに,形容詞についてはあまり良い結果が得られなかった. 感性検索の個人適応に関する研究では,画像と被験者のグループに基づく利用者の学習の負荷の軽減法について検討した.評価の結果,学習効果は見られるものの,感性の主因子に対応する印象語対の少ない画像グループや印象語対グループに対して改善の余地があることが分かった. 感性検索の気分適応に関する研究としては,「哀」と「楽」の2つの気分を対象として検討した.官能検査実験により,(1)同じ画像であっても感じ方が変化していること,(2)視聴後の行動パターンは気分を強めるようにするか打ち消すようにするかの2パターンがほとんどであること,(3)行動パターンによって感じ方が変化しているようであることが明らかになった,さらに,この行動パターンを利用することで,検索時の気分に応じて検索をI変化させる感性画像検索システムを試作した.
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