研究概要 |
自律型エージェントからなるチームへの適切かつ適時なタスク委任を支援するため,特にマルチ・ロボット競技を具体的対象として,エージェントが担う"機能"の状態を階層的に表示したヒューマン・エージェント・インタフェース設計理論の有効性評価を行った. 1.インタフェース評価用認知シミュレーションシステムの構築 海外共同研究者との共同研究より,被験者による制御内容およびインタビュー等の基礎データを獲得した.この解析から,オペレータの認知的タスク,オペレータの基本的なメンタルモデル,情報の獲得方策,状況把握の戦略,制御戦略等を同定することで,認知的リソースの推定を可能とする認知タスクネットワークモデルを構築した. 2.機能状態表示インタフェースの開発 機能状態表示インタフェース設計の基盤となるタスク空間の機能階層構造を構築した.具体的には,チームの2大基本タスクとして"守備"および"攻撃"を定義した上で,各タスクの目標,各ロボットが担う機能,ロボットの情報獲得に関する制約,移動における制約,環境の物理的制約等を明確にした. 機能構造モデルを直接的・直感的に知覚可能とする表現フォームを策定した上で,機能状態表示エコロジカル・インタフェースをPC上に実装した.設計の段階で,上記の認知シミュレーションを用いることでパフォーマンスと心理的負荷等の評価を実施した. 提案インタフェースの有効性・限界を同定するために,機能表示のないインタフェースとの比較評価実験により,パフォーマンスや心理的負荷,状況認識等の各評価基準による評価を実施した.その結果,提案インタフェースの基本的な有効性を確認するとともに,より有用性を高めるためには戦略の多様性と個人差への対応が不可欠であり,各戦略に応じた情報提供が必要であるとの知見を得た.
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