研究概要 |
本研究では,大別して次の3つを行った. 1)エージェントコミュニティを利用したP2P型情報検索システム(ACP2P)の開発と評価 2)セマンティックWeb技術を利用したP2P型情報検索モデルの開発 3)ACP2Pの応用としての個人特化型情報推薦システムの開発 1)では,検索に必要となるメッセージ数の削減効果,検索精度の向上効果に関する評価実験を行った.実験では,1つのコミュニティを利用し,ACP2が提案する履歴を利用した手法の効果に関する実験を行った.これらの成果は論文誌や国際会議で発表した.しかし,これらの実験を通して,複数コミュニティを利用した実験を行う前に,検索精度の向上を計るための手法の開発が急務であると考え,検索精度向上のために必要となるコミュニティ内のドキュメント数や検索要求に関連したドキュメント数の推定,コミュニティ内でのマルチキャストの利用方法についての詳細な実験を行った.なお,当初計画していた複数コミュニティを利用した情報流通・共有現象の確認やポリシー制御機構の開発などの項目については,十分に行うことができなかったたが,本研究を通して,これらを行う準備は整えた. 2)では,今後,必要になると思われるセマンティックWeb技術に関する調査と,それを利用した個人特化型のWebポータルモデルについての研究を行った.このモデルでは,Webサービスの技術と,情報検索技術を,セマンティックWeb技術を利用して統合するものである.アーキテクチャとしては,1)で開発したものを採用している.この成果は幾つかの国際会議で発表し,そのうちの一つが,論文誌に推薦された. 3)では,1)の応用研究として「個人特化型の情報推薦システムの開発」の研究を行った.ここでは,ユーザのブラウジング履歴を活用し,ユーザのブラウジング操作に必要となる手間を減らすようなインタフェースを提案するとともに,その履歴を利用した情報推薦を行うだけでなく,協調フィルタリングの手法を利用し,コミュニティメンバーのブラウジング履歴情報の中からも推薦を行うシステムの開発を行った.また,このようなブラウジング履歴の活用だけでなく,ユーザのスケジュール情報を活用する情報推薦モデルの提案と,システム開発も行った.
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