研究概要 |
本研究の結果,以下の3点の成果が得られた.なお被災者発見システムとは,研究代表者が提案した災害救助システムであり,アドホックネットワークで接続された群ロボットとモニタ局からなる.各ロボットが自律的パス修復を行ってネットワークの維持を行う点に特長がある. 1.被災者発見システムによる遠隔スペース探索方式の検討 遠隔スペース探索方式を提案し,その有効性を確認した.提案方式の要点は,遠隔スペース内の目的地に向かってロボットが1台つつ順次に移動を行うこと.および目的地に到達したロボットがその周囲のランダム歩行を行うことにある.シミュレーション実験により,一部のロボットの故障などによって通信リンク切断が生じても,自律的パス修復が機能してこの切断が回復し,モニタ局との通信パスを維持したロボットが遠隔スペース探索を行うことが可能であることを確認した. 2.被災者発見システムによる広域探索方式の検討 広域探索方式を提案し,その有効性を確認した.同方式は,各ロボットが,ネットワークトポロジー上の自己の位置に応じて探索ロボットと中継ロボットに適宜に役割を分担し,前者は後者の内の一台を主探索ロボットと定めて同ロボットとモニタ局間の通信パスを維持するように行動する方式である.計算機シミュレーションによって本提案方式の有効性を確認した. 3.被災者発見システムにおける動画像伝送方式の検討 各ロボットが被災者の動画像をモニタ局に伝送する方式として,先に提案された同期QoS方式が適している.しかし,ネットワークトポロジーが高い頻度で変化すれば,無効VCが多数発生して伝送成功率が低下する.この問題に対し,新たな伝送フレーム構造を用いて伝送成功率を改善する方式:高速制御法を提案した.被災者発見システムを用いた遠隔スペース探索に高速制御法を用いた場合のシミュレーションを行い,提案方式の有効性を確認した.
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