配分額 *注記 |
3,970千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 270千円)
2007年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
聴覚情報と視覚情報の間にある共通の認識を見出し,聴覚を視覚情報により支援するコンピュータ・ソフトウェアのための基本的な研究として以下の二点を行った.A)演奏情報の最適な可視化の追求.B)聴覚障害者が音あるいは画像から認知する事柄の解明. 特に幼少時より程度の重い聴覚障害となった人たちは音楽に接する機会が限定されてきたが,一連の研究を通して音楽に興味を持ち,音楽演奏を楽しみたいという希望をもっていることを確認した.そこで聴覚障害者のアンサンブル演奏を支援するシステムの構築を目指すことを念頭に置き,B)については,感情を託したドラムの即興演奏を用いて様々な実験を行い,演奏認知において聴覚障害者と健聴者の間に差があるかどうかを調べた. 音楽認知の実験では,音楽のみ,音楽と同じ意図感情を表す線画像,音楽と感情は意図しないが,音響に伴って動く動画像などの刺激を用いた.顕著な結果としては,次のことが挙げられる. 1.実験中一つの刺激以外について聴覚障害者と健聴者の間に演奏の感情認知に有意差は見られなかった.2.プロ,アマチュア(健聴者),聴覚障害者によるドラム演奏を刺激としたところ,聴覚障害を持つ被験者はこの3種類のドラム演奏の感情認知について有意差はなかった.一方,被験者が健聴者である場合,プロのドラム演奏者の演奏認知と他の2つの演奏者による演奏認知に有意差があった.プロのドラム演奏者の演奏認知については聴覚障害者と健聴者の間に有意差があった.3.同じ感情を意図する静止画像を音楽と同時に提示する刺激が最も感情認知が高まった. 聴覚障害者の音楽認知については世界的にもほとんど行われておらず,画像,マルチメディアを併用した音楽認知についての新たな興味深い知見を得ることができ,今後の研究の礎とすることができた.
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