研究概要 |
香りの分類における感性パラメータ手法の研究を中心に,統計的な処理が有効な結果をもたらすことを明らかにした。香水を使用する世代である社会人と,あまり香水を使う機会のない大学生を対象に,年代によって香水の評価にどのような相違があるかを調査した。調査対象として,国内外で市販されている15種類の香水をサンプルとして使用した。被験者としては,30-・40才台を中心とする社会人(43名)および19-23才の大学生(60名)からなる2つのグループで,各々男女を混合して構成した。 感性パラメータ法とSD法を併用した香水のイメージに関する調査研究の結果,SD法による結果と,感性パラメータ法による結果は大きな分類で類似性があることが分り,感性パラメータ法の妥当性を示すことができた。さらに,きわめて似ていると評価された香りがSD法および感性パラメータ法で同じものが多かった点も特記できる点である。これらの香りは大人の場合と大学生の場合で異なっており,年代に対する差異を示すものと考察された。大学生では自分の好みの香りを基準に香水を評価するが,社会人の場合には経験から香調の分類にある程度従って評価していることが分かった。クラスター分析で極めて距離の近く,類似性が強いと評価される香水同士は感性パラメータ法でもSD法でもともに近く評価されることが分かった。 本研究では,男女の違いについては調べなかったが,男性用香水,女性用香水が区別されて販売されていることを考えると,今後取り組むべき研究課題である。その場合,同性用の香水を評価する場合,異性用の香水を評価する場合で考察したいと考えている評価される香水同士は感性パラメータ法でもSD法でもともに近く評価されることが分かった。
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