研究概要 |
1,地方都市における経済情報の発生・伝達に関する史料調査 史料調査のため、下記の通り各機関を訪問し、デジタル画像による収集をおこなった。 平成16年度:岡山県津山市「津山郷土資料館」、青森県弘前市「弘前市立図書館」、和歌山県和歌山市「和歌山県立文書館」 平成17年度:茨城県水戸市「茨城県立歴史館」、岡山県岡山市「岡山県立記録資料館」、静岡県浜松市「浜松市立図書館」並びに「浜松市立歴史館」 平成18年度:山梨県石和市「山梨県立博物館」 いずれの機関でも、近世の地方都市における様々な経済の情報のうち、どのようなものが収集され保存されていったのかを知ることができる史料を集めた。 2,地方都市・八王子の近郊に当たる武蔵国多摩郡梅坪村の「谷津家文書群」の史料調査、並びに史料整理・目録作成を行った。同じく武蔵国多摩郡大沢村の「大沢家文書」については、本研究に取り入れることは出来なかった。今後の課題としたい。 3,今回の調査を通じて「経済情報」を抽出するために手がけた史料は、様々な分野に及ぶ。いわゆる訴訟文書から日記にいたるまで、多種多様であった。さらに各レベルの史料群に残存している書簡類を調査すれば、より具体的な「経済情報」を見出すことができたかも知れない。物価、なかんずく米貨の相場がどのようにして決定されたかを知ることができたが、それは「経済情報」の重層的な蓄積の結果であることが解明できた。今後もより広範な史料収集をおこない、「経済情報」が、近世社会においていかなる意味を持っていたのかを明らかにしていきたい。
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