研究課題/領域番号 |
16500205
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
池田 啓子 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10265241)
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研究分担者 |
川上 潔 自治医科大学, 医学部, 教授 (10161283)
鬼丸 洋 昭和大学, 医学部, 助教授 (30177258)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | Naポンプ / α2サブユニット / ノックアウトマウス / 脳幹 / 呼吸中枢 / クロライドイオン / KCC2 / GABA / ナトリウムポンプ / α2アイソフォーム / 呼吸中枢神経系 / 摘出脳幹脊髄標本 / クロライドイオン濃度 |
研究概要 |
Naポンプは、ATPの加水分解エネルギーを利用し、細胞膜内外のNaイオンとKイオンの濃度勾配を形成する膜酵素で、αとβ2つのサブユニットからなる。ほ乳類ではαサブユニットにはα1からα4までのアイソフォームがあり、各々特異的な発現パターンを示す。現在まで生体内でのアイソフォームの特異的機能は充分に明らかではなかった。我々は興奮性膜に特異的に発現するα2サブユニットの神経系での役割を明らかにする目的で同遺伝子のノックアウトマウスを作成した。ノックアウトホモマウスは外見上正常であるが自発運動、呼吸活動がなく生後まもなく死亡する。ホモマウスから調製したシナプトソームでは、神経伝達物質(グルタメート、GABA)の再取り込み能が野生型に比し有意に低下していた。再取り込みされないまま過剰に細胞外に存在する、これらの神経伝達物質は、周産期(出生直前・直後)の扁桃体・梨状野の神経細胞の異常発火、ひいてはアポトーシスをひきおこしていた。さらにノックアウトホモマウスの脳幹部呼吸中枢神経細胞では細胞内クロライドイオン濃度が野生型に比し有意に上昇していた。摘出脳幹-脊髄ブロック標本を用いた電気生理学的および光学的測定により、ホモマウスではGABAによる反応が抑制性から興奮性に変換していることを観察した。さらにシナプトソーム形質膜を単離し、神経細胞特異的クロライドトランスポーターのKCC2がα2サブユニットと共免疫沈降することを確認した。以上の結果からα2サブユニットにより形成される局所のNaイオン、Kイオン濃度勾配が、神経伝達物質のトランスポーターや、細胞内クロライドイオンの排出を担うK-C1トランスポーター(KCC2)の機能に必須であること、これらの機能は同時に神経細胞に発現しているα1アイソフォームでは代償できないこと、が示唆された。α2アイソフォームの神経系における特異的機能を明らかにした。
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