研究課題/領域番号 |
16500248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
服部 尚樹 関西医科大学, 医学部, 助教授 (80288828)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | Cl-ATPase / アルツハイマー病 / アミロイドβ / リンパ球 / ホスファチジルイノシトール / Cl^--ATPase / ホノキオール |
研究概要 |
【目的】Cl^--ATPaseは神経細胞内Cl濃度を低く保ち、GABAなどによる抑制性神経伝達を可能にしている。本研究では検体の採取が容易な末梢血液リンパ球Cl^--ATPase活性のアミロイドβ(Aβ)による効果を調べ、アルツハイマー病(AD)の早期診断に有用か否かを検討した。 【方法】リンパ系白血病細胞(Jurkat)、骨髄系白血病細胞(HL60)および健常人末梢血を用いて検討した。各血球のCl^--ATPase活性、Na^+-K^+-ATPase活性を測定後、10%FBSを含むRPMI1640にてリンパ球を24時間培養し、Aβ25-35(1μM)およびAβ1-42(100nM)の両ATPase活性に及ぼす効果を検討した。更に、これらAβの、リンパ球に対する細胞毒性につき、WST法、LDHを用いて検討した。また、これらATPase活性におよぼすPI4キナーゼ阻害薬(20μM Quercetin)、PI3キナーゼ阻害薬(0.05μM Wartmannin)の作用についても検討した。 【結果】Jurkat cellおよびHL-60 cell膜分画においてCl^--ATPase活性(0.40±0.10μmol Pi/mg protein/hおよびNa-K-ATPase活性(0.35±0.12μmol Pi/mg protein/h)が認められた。健常人末梢血において、Cl^--ATPase活性は、リンパ球(0.32±0.10μmol Pi/mg protein/h)及び好中球(0.19±0.06)において認められたが、赤血球では認められなかった。他方、Na-K-ATPase活性はリンパ球(0.56±0.11)、好中球(0.18±0.06)、赤血球(0.10±0.05)すべてにおいてその活性が認められた。Aβ25-35(1μM)およびAβ1-42(100nM)はリンパ球Cl^--ATPase活性を有意に低下させ、Na-K-ATPase活性に関しては、低下させる傾向を示した。Cl-ATPaseは、PI4キナーゼ阻害薬(20μM Quercetin)で有為に活性低下が認められたが、PI3キナーゼ阻害薬(0.05μM Wartmannin)では変化が見られなかった。WSTおよびLDH releaseを用いた細胞毒性の検討では、Aβ25-35およびAβ1-42(100nM)ともに有為な変化を示さなかった。 【考察】我々は既にCl^--ATPase活性の維持に膜のPI4Pが必要なことを見いだしている。AβによるCl^--ATPase活性低下の機序として、PI4 kinase type IIの低下によるPI4Pの低下が関与する事を、本教室で最近明らかにした。リンパ球においても同様の機序でCl^--ATPase活性が低下することが推測された。AβによるCl^--ATPase活性低下が、神経細胞と同じ様にリンパ球でも認められた事、その機序も中枢神経系と同様であると推測された事から、中枢神経系におけるAβの作用を採取の容易なリンパ球で代用できると考えられ、今後アルツハイマー病の臨床診断の一助となる事が期待される。
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