研究概要 |
《目的》飼育室温度が4℃なるとスンクスではすべて死亡する.7-8℃では死亡することはないが繁殖はストップする.またマウスと同じようにスンクスでも褐色脂肪の肥大化(高脂肪食で飼育)が起きれば耐寒性が増大する.また低温暴露時において,熱産生に関与する遺伝子Ucp-1,Dio2,Glut4を褐色脂肪で発現量の検討を行った.また特異的に発現するUcp-1の遺伝子に関してはクローニングを行って検討した. 《方法》動物はスンクスKATラインの♂,低温暴露としては飼育ケージをメデイカルクーラー庫内にセットし,庫内の温度を7-8℃に設定した.また,褐色脂肪の大きさや熱産生に関与する遺伝子について検討した.Ucp-1のクローニングは褐色脂肪組織からmRNAを抽出し,RT-PCRを行ってcDNAを他種哺乳類のものと比較検討した. 《結果と考察》マウスと比較すると低温不耐性であるが,その原因の1つとして熱産生能の低下があり,また褐色脂肪組織に脂肪滴の減少あると考えられた.低温暴露または高脂肪食だけの単独処理では褐色脂肪組織内のUcp1やdio2のmRNAの上昇は見られなかった.両者を同時に処理すると耐寒性が増大した.このことからスンクスの低温不耐性の要因の1つは,通常の高タンパク質飼料では褐色脂肪の肥大化が起きないためと推定された.また,低温下で不動化あるいは死亡するのは,スンクスにみられる日内休眠状態による低体温にも1つの要因である可能性が推定された.すなわち日内休眠からさめて,体温上昇を引き起こす時に褐色脂肪組織の熱産生機構がうまく働かない場合におきるものと考えられる.Ucp-1の塩基配列はその機能部位において,通常の哺乳類がもっている配列と1塩基置換がみられ,これも熱産生の悪さに関与しているものと考えられた.
|