研究概要 |
早朝治癒における治癒不全を治療するためには、宿主の治癒力を最大限に利用できる環境を整えなければならない。適切な環境のためには、足場、細胞、サイトカインの各条件が整っていることが必要である。家兎耳介に観察窓(Rabbit ear chamber ; REC)を作成する創傷治癒モデルを用いて実験した。使用するサイトカインとして市販のrhbFGFをまず使用したところ創傷治癒にともなった血管新生が促進し、局所使用量により治癒の速度に違いが観察された(Komori M, Anesth Analg, 2005)。足場に市販のコラーゲン製止血材の利用を試みてpreliminary実験をおこなったところ、細胞親和性に差があることが示唆された。そこで、コラーゲンは止血材料として多く臨床で使用されており、種々の評価がなされているためreviewとしてまとめた(Tomizawa Y, J Artif Organs, 2005)。さらに、現在、心臓血管外科領域で多用されている材料の細胞毒性と組織親和性をin vitroおよびin vivoで評価した(冨澤他、日心血外会誌、2004)ところ、細胞が接着しない、あるいは試料に向かって血管が先細りするコラーゲン製品があることが明らかになった。さらに綿状コラーゲンを足場として用いると血管新生が速やかで、異物反応がなく本研究に適することが明らかになった。機能的な足場として働くためには種々の条件を満たさねばならないことを明らかにした。
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