研究課題
基盤研究(C)
生体組織ゲルの局所インピーダンスのバイオメカトロニクス的計測システムを新たに提案・製作し、生理流動体に適用してシステムの有効性を実験的に検証した。電解質水溶液の電気抵抗は電極間の距離に依存して変化する。片方の電極を機械的に振動させるとき、その振動数に対応する抵抗出力成分を解析することにより、電極が振動している局所の機械電気的性質を計測することができる。電解質水溶液で満たして白金線を通したガラス細管で1対の電極を構成し、片方の電極を圧電素子と発振器により所望の振動数で被測定流動体中で機械的に振動させた。組み立てた計測システムは、発振器、増幅器、スペクトル解析器、倒立位相差顕微鏡、モニターから構成されている。計測システムを塩化ナトリウム水溶液、卵白、ヒト血液に適用して、室温25℃において出力電気信号を解析した。デキストランを用いて被測定流動体の粘度を変化させた。実験の結果、この計測システムにより、水溶液の電解質濃度、電極振動の振幅、局所の電解質濃度に応じた出力信号を検出できることがわかった。卵白の局所の電解質濃度を変化させた場合、当該局所の電気的性質を測定するには、静止電極では困難で、振動電極が有効であることがわかった。振動電極の振動数を高くすると被測定流体の粘度変化を検出できることがわかった。また、ヒト血液の凝固に伴う血液の機械電気的性質の変化を検出できることがわかった。実験研究の結果、開発した計測システムは生理組織ゲルの局所の電気機械的性質を評価するのに有効であることがわかった。
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