研究概要 |
本研究では,内視鏡外科手術に使用される廉価かつ高精度なMRI対応手術用水圧駆動マニピュレータを開発することを目的としている.今回はその基礎研究としてマニピュレータの試作とシステムの構築を行った.まず,液圧駆動による小型・高精度アクチュエータという利点を生かした,リンク駆動のマニピュレータの設計・試作を行った.マニピュレータの設計については屈曲,回転,把持を行うための機構の提案を行い,さらに屈曲機構の試作を行った.そして,シリンダおよびマニピュレータを連結し,システムとしての特性を調べるために実験・考察を行った.これらの検討結果は以下の通りである. (1)試作したリンク駆動マニピュレータは1自由度当たりの理論最大屈曲角度は90[deg]であり,最大で4つの自由度を持つことが出来る. (2)PWM駆動でのDuty速度特性を取得し,ほぼ線形な関係があることを確認した. (3)位相差駆動でのDuty速度特性を取得し,Dutyが±30%の領域では非線形性が強く表れることを確認した.また,Dutyと,シリンダ変位,圧力,力,駆動力の変化を比較することで,片ロッド複動式シリンダにおいて位相差駆動を行った際の現象を明らかにし,非線形性が現れる原因の考察を行った. (4)使用する駆動方法は,滑らかさ及びDuty-速度特性の結果より,通常はPWM駆動,高精度位置決め時には位相差駆動により駆動を行う. (5)製作したマニピュレータシステムの応答性は±30[deg]までの到達時間が0.5[sec]以下と良好な性能が得られた. (6)無負荷状態でのマニピュレータ駆動において,角度ヒステリシスの存在が確認されたが,高い再現性を利用し補正を行うことで角度のヒステリシスを小さくすることが出来た.
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