研究概要 |
1.DCPH-P存在下、超音波照射による抗腫瘍効果: in vitroで胃癌細胞にDCPH-P存在下に超音波またはハロゲン光をあて細胞傷害活性を調べた結果、超音波との併用のみによって濃度依存的に傷害活性がみられ、DCPH-Pは光感受性のない新しいタイプの音響化学物質であることがわかった。さらにin vivoでの抗腫瘍効果をマウス移植モデルを用いて調べた結果、0.6mg/kg i.v.で有意に腫瘍増殖を抑制した。 2.モノクローナル抗体(MAb)-DCPH-P複合体の作製: DCPH-PをMAbに結合させるため,水溶性カルボジイミドEDCとN-hydroxysulfosuccinimideを用い,抗CEAマウスMAbとDCPHの結合比を変えた複合物を作製した.これらをin vitroでCEA発現癌細胞と反応させ超音波を照射したところ,超音波照射単独に比べ抗腫瘍効果が有意に増強された。さらにマウス移植モデルを用いたin vivoでも腫瘍増殖抑制効果が確認された。 3.抗Ep-CAMヒトIgG MAbの作製: リコンビナントEp-CAMをヒト抗体遺伝子導入マウス(KMマウス)に投与し,その脾細胞とマウスミエローマ細胞P3-U1を融合させた。約3,000個のクローンを調べた結果,40個のEp-CAMと反応するクローンを得た。それらの多くはIgMであったが,2つのIgGクローンが得られたので,それらをヌードマウス腹腔で増殖させ,腹水よりMAbを精製した。これらはEp-CAM発現細胞と特異的に結合した。IgGあるいはFabの代わりにより小さい抗体分子を用いるため、ハイブリドーマより抗体H鎖とL鎖の可変部遺伝子をクローニングして塩基配列を決定し、組換え単鎖抗体を大腸菌に発現させ現在精製中である。今後はこの単鎖抗体にDCPH-Pを結合させEp-CAM産生癌に対する抗腫瘍効果を調べる予定である。
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