研究概要 |
義足ソケット形状なちびにアライメントの適合性は,ソケットの適合性が良好でない場合切断端で瘡を生じ,車椅子の併用を強いられるケースも存在することから,義足使用者にとって,QOL向上の点で極めて重要な問題である.ソケットの最適形状を得るためには,切断端の外部形状だけでなく骨断端形状ならびに軟部内部組織形状も計測し,その結果ならびに日常生活においてソケットに作用する力を考慮して応力解析を行い,血流の状態を含めて検討する必要である. そこで平成16年度においては,断端部等の外部形状だけでなく骨等の内部組織の形状を計測するために,ゴニオメータを利用した超音波3次元生体形状計測システムを試作し,モデルの測定および人下腿からのエコーを計測し,計測精度について評価した. 平成17年度においては,モデルボーンおよびシリコン樹脂からなる下腿切断端モデルを測定対象として,超音波3次元形状計測した.この結果を考慮し,予め用意した標準人体3次元モデルにFree Form Deformation法を適用することで,切断端のような複雑形状であっても,有限要素モデルが構築可能であることを示すとともに,圧迫荷重と血流速の関係について調査した. さらに,平成18年度においては,前年度までに得られた基本的データに基づき,本研究の総括として,義肢装具士が有する義足ソケット形状の補正手法に関わるノウハウの有効性を工学的および医学的見地から検討し,形状決定支援システム構築に反映させ,以下の知見を得た. (ア)義肢装具士が採形時に施す断端部への予圧を施した状態での断端部形状に合わせたソケット形状が,下端における応力集中が小さく,血流に及ぼす影響が少ない. (イ)義肢装具士のソケット形状修正のノウハウを考慮したアルゴリズムを適用し,FEM応力解析することで,適合性の良好なソケット形状を決定可能である.
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