研究概要 |
現在,我々の研究グループでは,理学療法の現場で広く用いられている電気刺激,磁気刺激,超音波刺激,運動刺激などの様々な物理療法が末梢神経の再生,損傷筋の再生,廃用性筋萎縮の予防,創傷の治癒などに及ぼす影響を形態学をベースにして検証しており,様々な物理刺激の作用部位や作用機所を明らかにすることによって,より安全でかつ有効物理療法の確立を目指している。 皮膚の創傷治癒に対しては,超音波刺激が最も有効であったので,今後その作用部位や作用機序を明らかにしていく予定である。 激しい運動や不適切な運動によって起こる筋損傷に対して,運動直後にストレッチ運動を加えてやることによって,筋の腫脹や二次損傷が軽減され,筋の再生が促進されることが明らかになった。また,筋損傷部における修復過程についても電子顕微鏡による観察から詳細な膜閉鎖機構を明らかにすることができた。 電気刺激や磁気刺激が末梢神経の再生を促進することは広く認められているが,末梢神経損傷部に磁気刺激を当てることによって,神経再生を促進するといわれている神経成長因子の発現が増強していることが我々の免疫組織化学的観察によって明らかになった。神経成長因子は神経損傷部付近のシュワン細胞や線維芽細胞の細胞質やシュワン細胞の基底膜に発現しており,現在,照射時期や強度による違いを生化学的手法併用して調べるとともに,シュワン細胞,線維芽細胞,マクロファージに対する磁気刺激の影響を観察している。
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