研究概要 |
1.目的:光トポグラフィー法を用い手続き記憶検査課題遂行時の脳活動を検討する. 2.対象:手続き記憶課題未経験の健常者9名(男性5名,女性4名,年齢(平均±SD)24,6±3.4歳). 3.方法:(1)手続き記憶:鏡映読字,鏡映描画,トロントの塔の3種を用いた,いずれの課題も1日に3回行い,3日間連続して行った,(2)光トポグラフラフイー測定:光トポグラフィ装置(ETG-100,日立メディコ)のプローブを前頭部へ装着し計22チャンネルの測定を行った.各手続き記憶課題の対照として鏡映読字へ正像文字判読,鏡映描画へ直視下の描画,トロントの塔へ順に沿ったディスク移動を設定した,測定1は1日目の課題開始前に,測定2は3日目の終了後に施行した. 4.結果と考察:(1)手続き記憶:1日目3回施行の平均所要時間(回数)に比べ3日目3回施行の平均所要時間(回数)が減少し,対象者が各課題に習熟していた.(2)光トポグラフィー測定:測定1で3種の課題全てで複数のチャンネルでタスク遂行時に脳血液量増加の信号変化パターンを認めた.測定2では測定1に比べ少ないチャンネルで脳血液量増加を示した,今回測定1でみられた反応が課題への注意・集中による非特異的なものである可能性,個人間での測定部位の相違,本法の空間分解能等より,脳賦活部位の3種の課題間での相違については明らかではない,光トポグラフィー法では相対的な変化量を見ており異なる測定間の変化量の大小で単純に賦活の程度を推測はできない.従って測定1,2間の賦活の差異についても慎重に解釈する必要がある. 5.まとめ:光トポグラフィー法により臨床上用いている手続き記憶課題遂行時の前頭前野の賦活を示すことができた.計測を行う場所や被験者の姿位や体動に関する制約を受けにくい特徴を生かし,従来の神経心理学的知見や他の脳機能画像研究との相補的な検討に有用と考える.
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