研究概要 |
本研究は,生涯を通じて継続可能な"いつでも,どこでも,だれにでもできる運動",なかでも,最もシンプルな形式をもち,ウォーキングを始めとして他のスポーツの準備運動として用いられているストレッチングの,中高齢者における有効性・意義等を明らかにすることを目的としたものであった。特に,呼吸に重点をおいたストレッチングの有効性を明らかにすることにより,生涯学習社会において求められる体育的課題やその指導内容・方法等を具体的に提言したいと考えた。 平成16年度には,中高齢者の体力・スポーツに関する世論調査や先行研究等を中心に情報収集を進め,次に,日常的に行っている運動・スポーツ等に関する心理的あるいは身体的な有効性に対する意識について実態調査を行った。一般中高齢者と運動部所属の大学生を対象とした実態調査の結果,中高齢者において,呼吸に重点をおいたストレッチングの実施方法等については,まだまだ認識不足であることが明らかとなった。また,文献を検討した結果,ストレッチングの実施方法に関する記述,特に呼吸との関連性については曖昧な点が多かった。 平成17年度には,まず,ストレッチングの実施方法,特に呼吸との関連性に関する実施方法について資料等さまざまな情報を収集した。また,様々なストレッチングのなかから,寝た状態でもでき,一時に全身をストレッチすることができる最もシンプルなポスチァのストレッチングに着目して,大学生を対象とした実験的検討を試みた。その結果,息を吐きながら行うストレッチは,心理的,生理的にリラックス効果をもたらす一方,実施方法等の違いにより,参与する筋肉部位は異なることが明らかとなった。中高齢者に対し,より簡便な方法で追実験を試みたところ,生理的効果に及ぼす影響はより高いことが明らかとなった。
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